電子カルテの三原則。メリットやデメリットは?
現状普及率が50%未満の電子カルテ。
医療ビッグデータが注目されている日本で、この数字は紛れもなく課題になってくるでしょう。
今回は医療情報を扱う企業の1人として電子カルテについて厚生労働省のガイドライン等を参考に解説していきます。
厚生労働省「医療分野の情報化の推進について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/johoka/index.html
電子カルテの三原則とガイドライン

さて、早速ですが電子カルテの三原則について厚生労働省のガイドラインを参考に解説すると
- 真正性の確保
- 見読性の確保
- 保存性の確保
の3つが三原則として挙げられ、それぞれ簡単に解説すると
- 真正性:誰かが変更したり削除したらその内容がわかるようにしなさい
- 見読性:必要なときに公開できるようにしなさい(訴訟時など)
- 保存性:復元可能な状態にしていなさい
ということ。
これらに関しては、先ほども書きましたが厚生労働省のガイドラインに明確に書かれています。こちらを参考にしてみてください。
※ちなみに三原則については「7 電子保存の要求事項について」に書かれています。
医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5版
デメリット
電子カルテを利用するデメリットとしては
- システム理解に時間がかかる
- 初期コストがかかる
- セキュリティ設備の充実が必要
- 災害時に利用できない
などが挙げられます。
メリット
逆に電子カルテを利用するメリットも非常に多くあります。
- 管理が非常に楽
- 正確に管理すればセキュリティは紙媒体よりも高い
- 情報の共有ができる
- 地域医療連携の情報基盤となる
- 患者の待ち時間の削減
などが挙げられ、電子カルテによって日本の医療水準の向上が見込めます。
セキュリティ面での課題、個人情報保護法などで共有できる情報の幅が限られているのは事実ですが、これらの情報を適切に活用することによって、将来的に日本の医療水準は確実に向上するでしょう。
(もう既に、ヘルスケア・アクセス・アンド・クオリティー・インデックス(HAQインデックス)」の世界195か国ランキング(2016年版)によると日本は第11位。今回のコロナ騒動を見ても、医療水準は十分に世界の中でも高い国です。
ちょっと年代が異なりますが、このような論文もあり、日本の医療水準と世界の医療水準について知ることができます:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5528124/)

電子カルテの普及率は?
ちなみに現状、電子カルテの普及率は厚生労働省の調査によると、平成29年で
- 一般病院で46.7%
- 一般診療所で41.6%
となっており、10年間でだいぶ伸びてきました。
今後確実に普及率は上昇していくでしょう。
電子カルテシステム等の普及状況の推移
厚生労働省の電子カルテ推進について
現在、厚生労働省では電子カルテの推進を測っており、医療情報の標準化を目指しています。
フォーマットや形、検査結果の位置などが医療現場によって異なる状態で電子カルテを利用しても、その情報を組み合わせて医療イノベーションを起こすことは難しいでしょう。
そこで求められているのが
「同じ条件で」
「質とセキュリティの高い」
「医療情報」
となります。
これがまさに医療情報、電子カルテの最大の課題でしょう。
詳しくは厚生労働省のホームページをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/johoka/index.html