むずむず脚症候群とは?

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(1)「むずむず脚症候群」とは

 「むずむず脚症候群」は下肢を中心に不快な感覚を生じる疾患で「レストレスレッグス症候群」とも呼ばれています。症状が夕方から夜間にかけて悪化するため、睡眠障害として分類されています。その症状は多彩で「むずむず感」だけでなく「痛み」や「熱感」などを伴うこともあります。

「むずむず脚症候群」には①不快感から体を動かしたくなる欲求(urge to move)、②安静時に症状が増悪(worsening during rest)、③体を動かすことで症状が改善する(relieve by movement)、④症状が夕方から夜間にかけて増悪する(worsening in the night)という4つの特徴があります。

夜間に症状が悪化するため、「むずむず脚症候群」で眠れない日が続くと日常生活へ支障が生じたり気分が落ち込んでしまうことがあります。自分の症状をうまく表現できない幼児や認知症の高齢者では特に注意が必要でしょう。

また夜間だけではなく、電車や飛行機などの乗り物や、映画館や理容室などで長時間動けない状態が続くと日中にも症状が出現することがあります。また「むずむず脚症候群」では周期性四肢運動という下肢の不随意運動(足が勝手にぴくつく現象)も生じやすいことがわかっています。

「むずむず脚症候群」は日本では人口の約3~4%、欧米では約5~10%の割合で存在すると言われており、まれな病気ではありません。特に女性や高齢者で発症しやすいと言われています。

(2)「むずむず脚症候群」の原因は?

「むずむず脚症候群」は脳のドーパミン機能の障害で知覚刺激を制御できなくなるために生じると考えられています。下肢を中心とした感覚障害ですが、下肢の筋肉、骨、末梢神経に異常はありません。

ドーパミンの生成や制御には鉄や葉酸やビタミンB群が必要なので栄養失調や貧血(鉄不足)でも「むずむず脚症候群」が生じることがあります。他にもパーキンソン病、腎不全、妊娠中、糖尿病、リウマチなどの患者では鉄の利用障害やドーパミンの機能不全により「むずむず脚症候群」が生じやすいと考えられています。

 日常生活では喫煙、飲酒、カフェイン摂取が交感神経の働きを刺激することで「むずむず脚症候群」の症状を悪化させやすいと言われています。また他の病気の治療で使用する薬の副作用でも「むずむず脚症候群」が出現することがあります。特にドーパミン機能や交感神経の機能に影響を与えるような薬剤で出現することが多いようです。

「むずむず脚症候群」が夕方から夜間にかけて悪化しやすいのは①ドパミンの日内変動(通常は夜間にドーパミン機能が低下しやすい)、②血清鉄の日内変動(血清鉄も夜間に低下しやすい)、③夜間の活動性の低下(日中は体を動かすことが多いため症状が軽減する)などが原因ではないかと筆者は考えています。

(3)「むずむず脚症候群」の治し方

「むずむず脚症候群」は生活習慣の改善である程度、症状を軽減することができます。症状悪化の原因となる喫煙、飲酒、カフェイン摂取はなるべく控えるべきでしょう。またドーパミンがうまく機能するには鉄や葉酸やビタミンB群など様々な栄養素が必要となるため、バランスの取れた食事も重要です。

「むずむず脚症候群」の症状が出現したときは下肢を動かすことで症状が軽減しますが、夕方の体操やウォーキングなども症状の緩和に有効なようです。ただし筋トレなどの激しい運動は交感神経の活動を高めすぎて症状が悪化することがあるため注意が必要です。

また下肢のマッサージやストレッチでも症状が軽減することがあります。濡れタオルやシャワーなどで下肢の熱感をとると症状が改善するケースもありますが、冷やしすぎないように注意が必要でしょう。

症状から注意をそらす工夫も有効です。例えば音楽鑑賞や読書など趣味の活動に意識が集中しているときは症状が緩和することがあります。ただしコンピュータゲームや映画鑑賞などの場合はブルーライト暴露が深夜まで及ぶと睡眠リズムが乱れる可能性があるため注意が必要です。

これらの対応でも症状が改善せず日常生活に支障をきたしてしまう場合は薬物療法が必要でしょう。「むずむず脚症候群」の治療薬は複数ありますが、症状が改善する範囲内でなるべく副作用の少ない薬を優先すべきでしょう。「むずむず脚症候群」の専門的な検査や治療のできる睡眠専門医療機関は日本睡眠学会のサイトで閲覧することができます。